Keizo Murai2月24日1 分川端康成「雪国」は、読み手を選ぶ作品なのです。主人公は妻子ある文筆家、島村。 彼は、一年ぶりに雪国の温泉宿に赴きます。 美しい芸者、駒子との再会を果たすために。 川端康成は、説明的な文章では描かず じつに巧みに、抒情的な表現をしています。 つまり、ここで描かれているのは 二人の微妙な心の揺れ動き。...
Keizo Murai2021年11月20日1 分三島由紀夫「憂国」は読むにはかなりの覚悟がいると思います(;^_^A妻を娶って間もないが故に 二・二六時件の決起に参加できなかった武山中尉。 彼は、決起した親友を討つ立場になってしまう。 それを潔しとせず死を選ぶ武山。 そして軍人の妻として、 「お供させていただきます」と言い放つ妻。 凡百の作家が描くと絵空事にみえるが...
Keizo Murai2021年11月18日1 分泉鏡花「栃の実」を単なる紀行文と侮ってはイケナイ。鏡花自身が福井から近江へ旅をした際の紀行文です 幻想譚でも何でもありません。 が、しかし。 表現の素晴らしいこと、この上ないです。 例えば冒頭のこの一文。 「古の名将、また英雄が、涙に、誉に、 屍を埋め、名を残した、あの、山また山、...
Keizo Murai2021年3月2日1 分谷崎潤一郎 「蓼食う虫」は、 関西の伝統文化を愛でる風流人をスケッチした作品です。お話の骨子は 恋人のもとへ足しげく通う妻を持つ夫。 離婚を決意した夫婦の心情が描かれています。 二番目の妻を、 知人に譲った谷崎潤一郎自身の体験が基になった作品です。 そう思って読むと、とても生々しい(;^_^A それ故に 主人公夫妻(谷崎夫妻)のエピソードは...
Keizo Murai2020年11月30日1 分多くの人が抱く川端康成のイメージが崩れ去る作品「片腕」川端康成という作家について、多くの人が抱いているイメージ。 それは、美しい純文学を描く作家、というイメージだと思います。 確かに文章は美しい。 ただ、その内容が美しいとは限らないのです。 「片腕」というタイトルからどんな小説かを想像できるでしょうか。 ・...
Keizo Murai2019年2月22日1 分エーリッヒ・フロム著 「愛するということ」で、ストンと腑に落ちたこと。エーリッヒ・フロム著 「愛するということ」を読み始めてからと言うもの ふと、人と人との関係性を考えるようになりました。 ・ エーリッヒ・フロム曰く 「結婚は、”円滑に機能するチーム”ではいけない。 お互いを理解し、争いがない関係は、 ふたりの間がぎくしゃくすることはないが、...
Keizo Murai2019年1月8日1 分「歎異抄」は、書物だけれどもいいのだろうか?鎌倉時代に書かれた書物です。 「歎」(なげく)の字のごとく、 これは、著者とされる唯円の「なげき」から生まれています。 ・ 誤解して伝わりつつある師、親鸞の教え。 これを憂えた唯円が、親鸞から直接聞いた言葉と、 それに基づく唯円の解釈をまとめたもの。 ・ が、しかし・・・。...
Keizo Murai2018年11月29日1 分皆川博子著「空の色さえ」は、最初の一行目から、こわい・・・・(^_^;)20ページ足らずの短編です。 が・・・ 最初の一行目から、こわい・・・・(^_^;) ・ 「二階にあがってはならぬと祖母に止められていた。 階段が急で危ないからというのが理由であったが・・・云々」 ・ もう、何かが二階にあるとしか思えない(^_^;)...
Keizo Murai2018年2月24日2 分アンナ・カヴァン著「氷」は、「トリップ」を疑似体験できる。この作品は、普通の小説ではありません。 次第に氷に閉ざされてゆく終末期を迎えた世界でのお話。 主人公である「私」は、ひとりの少女を追い求め、旅に出ます。 そのただならぬ道行きを描くのですが、 その、描きかたが尋常ではないのです。 まず、 登場人物には名前はおろか、...
Keizo Murai2018年2月22日1 分テッド・チャン著「地獄とは神の不在なり」は、難解極まりない作品です。が・・・。これはもう、難解きわまりない作品です。 原因は、その舞台設定(;^_^A ・ 物語の舞台は、現代のアメリカ。 が、しかし、天国、地獄、神が存在しているアメリカです。 信仰とかではなくて、実際に「存在」している世界です。 日常的に、ごく当たり前のように「天使」が降臨してきます...