Keizo Murai
<サプリメント016>昭和のドラマが心にしみる。
泣けた。
ひっさしぶりに、テレビで泣けた。
TBS水曜ドラマ「時間ですよ」
第一シリーズの第一回。
森光子が、まだ40代の頃の作品。
当然、白黒。
録画してるから後で見よーっと。
と、思いながら、
見るとはなしに、チラ見しながら、仕事していた。
舞台は、東京の下町の銭湯。
どうやら、一人息子の一郎のとこにお嫁さんが来たようだ。
で、同居することになった、その初日。
女将さん(森光子)と、ご主人(船越英二)は、そわそわそわそわ。
やってきたお嫁さん(フミ:大空真弓)は、大学出のいいとこのお嬢さん。
案の定、不穏な空気。
女将さん 「疲れただろうから、お風呂でもお入りよ」
フミ 「わたし、ほかの人とお風呂に入るなんて・・・。家族用のお風呂はないんですか?」
はたまた、
女将さん 「さぁさぁ、ここが台所、自由に使ってね」
フミ「冷蔵庫がこの位置じゃー、使い勝手が悪いです。それにこの戸棚も」
とまぁ、ことごとく衝突。
一郎は、ことごとくフミの味方。
険悪な雰囲気。
夕飯も終わって、お酒も入って、
ひとまずは、いい感じの団らん。
と、そこに事件勃発。
ケンちゃん(堺正章:従業員)が駆け込んできた。
「浜さん(樹木希林:従業員)が、酔っぱらいに絡まれてますー!」
やれやれ、といった感じで、女将さんは立ち上がる。
一郎とフミに向かって、
女将さん 「心配しないで。それよか、明日会社なんだろ、早くおやすみよ」
さみしそうである。
なんとか、一段落。
こたつで一服する女将さんと浜さん。
しんみり。
ほかの人たちは、もう眠っている。
女将さん 「浜さん、あたしゃーね、お嫁さんが来るってんで、家族が一人増えるって、思ってた」
浜さん 「・・・」
女将さん 「でも、減っちゃた」(←いいセリフ)
浜さん 「・・・」
女将さん 「一郎なんてね、こんなことがあったら起きててくれたもんだよ。心配そうな顔してさ」
ホントにいいドラマって、奇抜な設定なんてなくても、ジーンとくる。
余命いくばくの・・・とかなくったって、
大声で愛を叫ばなくったって、
そんなドラマチックな設定なし、
大げさな演技をしなくても、
ほんと、些細な仕草、セリフだけでジーンとなる。
ボクは、不覚にも、その次のシーンで、泣きそうになってしもうた。
仕事ヤーメタ。
女将さん、ふと台所の方を見る。
と、そこにはフミが。
女将さん 「あんた、・・・」
フミ 「宵っ張りなんです、わたし」
森光子の、面映いような、泣きそうなような、うれしいような、何とも言えない表情。
いいドラマは、
心のサプリメントになるなぁ。
